さよなら妄想

現実と妄想の狭間で

二十歳(ハタチ)の夏。舐めたかったのは苦渋ではない。

今週のお題「20歳」

 

大学生だった20歳の夏、友人宅で一冊の本を見つけました。

内容は「静岡が熱い!」というナンパ特集記事で
[◯◯にナンパ待ちのギャルが夜な夜出没!]
[◯◯と周辺で待ち合わせ風を装っているギャルが狙い目!]
などの“ガセネタ”がぎっしりと書かれていた。

コレや

思い立ったが吉日、まずは近所のプールで白い体を少しでもギャル男にすることを目的とし、コパトーンを塗っては焼くという地味な作業を繰り返して一週間。

それなりに黒い体になったところで、Road To Shizuokaのチケットを手配し、バッグに水着やタオルや着替えに加え、戦闘時の装備品もダースで持っていくという鬼畜っぷりで静岡へ。

ピュアだった自分、、、さよなら。

南へ南へ

熱海でレンタカーを借り、南へ南へ車を走らせると白浜海岸という綺麗なビーチを発見し、同じ歳ぐらいのギャルも複数確認できたので、直感的に「ここだ」と。

不安だったのが、本物のギャル男に比べると我々がまだ白いという現実。
色の黒さで良し悪しが決まるわけではないが、なぜかビーチでは黒が正。
仕方ないので持ってきた荷物はコインロッカーに入れ、とりあえず海へ。

 

これが実に楽しかった。

その日は波が高く、プールとは比にならない高さの波が何度も向かってきます。

 

「ウホーーーーーイ!」
「キタキタキタキタ!」
ザッバーーーン!!

 

こんなことをしていたらあっという間に1、2時間経過していて「そろそろお腹空かない?」となり、海の家でカレーを食べることに。

 

ーカレーをドカ食いー

 

食べ終わると友人がボディーボードのレンタルを見つけ「あれ楽しそうじゃない?」と・・・迷うことなくレンタルしました。 

MOLUSKO(モルスコ) ボディボード 33 MS-40 【色指定不可】

MOLUSKO(モルスコ) ボディボード 33 MS-40 【色指定不可】

 

これも予想以上に楽しかった。

当時はまだサーフィンをしてなかったので、波に乗るという感覚が新鮮で、気づけばどんどん人が少ないエリアで遊ぶように。

 

「あの波は大したことねえ」
「アレだよ!キタキタキタキタ!!」
シューーーーーーーーーー!!
「あー!!マジ楽しい笑」

 

気付いたら夕方でした・・・

 

「そろそろやめようか?」
「そうだね」

海から出てシャワーを浴び、着替えてる最中に友人が「楽しかったけどさ…ナンパしてないね笑」とポツリ。
忘れていたわけではなかった。恐らく友人も。

互いに目の前の楽しさを理由にナンパから逃げていたことは間違いない。
ふとカバンに目をやると、べっこんべっこんになった装備品の箱が寂しくコチラを覗いてました。

とりあえず宿を探そうと近場の観光案内所へ行き、当日泊まれる旅館があるか確認。

ボロボロの旅館

何とか見つかった旅館はレトロという言葉ではすまないほどに老朽化してましたが、それ以上に泊まる場所が確保できた安堵感が大きかったです。

「ようこそ」と旅館の方がジャムおじさんのような笑顔で迎えてくれ、料金を払った後に簡単な旅館の案内を聞く。

「外出しても構いませんけど、23時までには帰って来てくださいね」

「はーい(戻らないかもしれないけどね)」

とにかく時間がなかった。
我々のタイムリミットは残り1日もない。
荷物を部屋に放り投げて宿を出て、駅へ車を走らせました。

駅に着くと若いギャルを複数名確認。

「あの二人組どう?」
「いや、あれは・・・ほら!男出てきた」

そんなことを繰り返しているうちに時間は夜の9時を過ぎて灯りも暗くなり、人も少なくなってきました。

 

しびれを切らした友人が「あの子達いってみようよ!」と話した先には自販機前でヤンキー座りするギャル。気乗りはしないが、成果どころか勝負もしないで帰る訳にはいかない。

勇気を振り絞って声を掛けてみた。

「あ、、、あのぉ〜」
「なんだよ!!」
(怖っ)「いや、もしもお時間あるなら飲みにでも行きませんかね?」
「は?行くわけねーだろ!帰れ!ゆでタコが!帰れ!」

ゆでタコ?帰れ?
気になって自販機横のコンビニの窓ガラスに映る自分達の顔を見ると、確かに日焼けして真っ赤なゆでタコだった。

なんてことない断りだったが、疲れからか思いの外メンタルがやられ、どちらともなく「帰ろうか?」となって宿に戻ることに。

情けない…
惨敗というよりも戦うことすらしないという最悪の結果に。

救いは民宿のジャムおじさん。
宿に戻ると「遅いから心配になっちゃたよ笑。早くお風呂入って今日はゆっくりしてくださいね!」という温かい言葉に救われました。

・ ・ ・

旅館のお風呂は広くて心地よかったことを今でも覚えてます。
日焼けした影響で体がヒリヒリしたのも良き思い出。

「まあ、仕切りなおして明日頑張ろうか!」
「そうだね!」

・ ・ ・

風呂場から出ると友人が卓球台を見つけ
「卓球なんて最近やってないなーちょっとだけやってく?」
「いいね〜」
と卓球をすることに。

カコン!カコン!カコン!

「ははは」
「今のは取れないわ〜」

カコン!カコン!カコン!

「うわーまた汗かいてきたわ笑」
「また風呂入ればいいじゃん」

そんなやり取りをして5分ぐらい。

突然ジャムおじさんが部屋から出てこっちに向かい 

「何時だと思ってんだよバカヤロー!!」

と吠えてきました。
ジャ、、、ジャムちゃん?

え?と思ったが卓球台近くの張り紙を見ると【卓球は22時まで】

現在23時…見逃してた。
「サーセン・・・」と謝り部屋へ戻って爆睡。

翌日「卓球は22時までだから!」と昨日とは打って変わって強張った表情のジャムちゃん。別れ際に嫌なわだかまりを残して宿を後にしました。

ごめんねジャムちゃん。

ゲームオーバー

宿を出て直ぐに気付きましたが体力の限界。
前日の影響で体は痛いわボディーボードの影響で体が痛いわで海に入る余裕はありません。しぶしぶ熱海に戻って観光するプランに変更。

こうして僕らはチンポンもピンポンも出来ずに静岡を後にしました。

家に戻ってから溜まったモヤモヤを「サー!!」したことは友人には伝えてない。

 

そんな20歳(ハタチ)の夏。
誰にでもある遠い夏の思い出。
ジャムちゃんは元気だろうか?

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